スポーツ上達のための方法「道具は握らない」【元運動音痴のスポーツ上達コラム】
2017/02/20
前回のコラムでは、道具の力を引き出して
1+1=2馬力
にする考え方についてお伝えさせていただきました。
今回のコラムでは、さらに道具をうまく扱っていくためのコツについてお伝えしていきたいと思います。
皆さんは、スクールやコーチなどに、『インパクトの瞬間にぎゅっと握りましょう』と指導を受けたことはありますでしょうか?
これは、インパクトの瞬間にボールによる大きい力がかかるので、それに負けないように力を入れ、面を安定させて、精度をあげよう、ということを意図しているかと思います。
ですが、たしかにインパクトの瞬間には大きい力がかかりますが、ここで着目したいのはその時間です。
インパクトの瞬間というのは、ごくごくわずかな時間で、4/1000秒ほどとも言われています。
一方で通常の人間の反射神経は、人が自分の意志で反応するのに要する時間は平均で2/10秒ほどと言われています。
となると、自分の意志でラケットを握ろうとしても、到底間に合いませんね。一方で、ラケットの力をうまく引き出せてくると、その遠心力や道具の重さが
スイングの力として生まれてきます。
ですが、インパクトの瞬間に握ろうとしたり、スイング方向を手でコントロールしようとしてしまうと、せっかくラケットがスイングの力を生み出そうとしているのに、その推進力が止まってしまう事態が起きます。
指導をしていて、よく目にするケースが、スピン回転を打とうという練習を積み重ねた経験者のケースです。
テニスでスピン回転をかけようとすると、ボールに対して下から上にスイングをする必要があります。ですが、これを手首の力で下から上にスイングをして習得をする方がいらっしゃいます。
この場合、うまくスイングできるようになればスピン回転はかかっていくのですが、そうすると、スイングが手首の力で下から上方向にスイングする動きを身体が覚えてしまいます。
その結果どうなるかというと、なかなかフラット気味のボール、強いあたりのボールが打てなくなっていくわけです。
つまり、身体を回旋させて、腕やラケットが前方向に出る力を生み出しても、インパクト近辺で手首の力が上方向に働こうとしてしまうため、せっかく前方向に
出ようとしているラケットの力が止まってしまい、手首の力のみで上方向にスイングしたスピンボールしか打てなくなってしまうわけです。