しくじらないためのテニスの取組み方!こんなふうに考えていたら要注意!第17回
2017/01/10
『捨てる』ことで絞り込まれる
そしてフォアハンドの改造とあわせて、いくつか自分で「捨てる」決断をしました。
まずは、ネットプレーです。
当時の自分は、ボレーが本当に下手くそでした。
ボールが真ん中に当たらないこともしょっちゅうでした。
ですが、シングルスのゲームで、大学生レベルになるとなかなか相手もミスをしてくれないので、最後のフィニッシュを考えてゲームを組み立てる必要がありました。
ですが、自分はボレーがうまくありませんでした。
そのため、せっかくストロークで相手を追い込むところまで技術力が磨けたとしても、ネットプレーでミスをしては、結局ポイントが取れない、ということになってしまいます。
そして、ただでさえフォアハンドのグリップを変え、ストロークを改造しているのに、あと半年という時間のない中で、ボレーの技術も磨いていくのはかなり時間的に難しいものでした。
ですので、ボレーは捨てる覚悟をしました。
ゲームをしていて、どんなに相手を追い込んでも、ネットを取らず、後ろにステイしていました。
たとえ、それで相手が持ち直して、また最初から組み立てなければならないとしても、それは仕方がないと割りきりました。
そして、もう一つ捨てたのは、バックハンドのトップスピンです。
当時の私は片手バックを打っていましたが、特になんの特色もないものでした。
そして、コーチと話し合いながら、フォアハンドのグリップ改造とフォーム改造には少しずつ目指す方向性が見えてきて、展開のイメージもできてきたものの、バックハンドに打たれた時に、どうゲームを組み立てていくかの目処がたっていませんでした。
ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、当時は伊達選手がちょうど引退をする、という話題がありました。
そしてその引退試合として、シュテフィグラフ選手とのエキシビションマッチが名古屋で行われ、その試合をコーチと見に行く機会がありました。
そしてグラフ選手のバックハンドスライスを生で目の当たりにし、目を奪われました。
トップ選手にもかかわらず、バックハンドをスライスだけで戦っているその姿や、バックハンドスライスショットのその威力に。
そして、その試合を見た翌日、バックハンドスライスを試しに打ってみると、驚くことに、これまでと全く異なったスライスが打てました。
ボールに対して厚い当たりで、バウンドした後のボールの伸びがこれまでとは段違いでした。
「そんなバカな」とか「すぐに打てるはずがない」と思われると思います。
ですが、事実なのです。
その日から、私はバックハンドはすべてスライスで勝負をするようにしました。
周囲からは、全てスライスで打つ私を見て、「もう勝ち上がることを諦めた」と見る目もありました。
ですが、自分の中では、決して諦めていませんでした。
(続く)