『ベイビーステップに学ぶテニス上達法』その9: 荒谷くんとの試合前!
2016/01/20
漫画「ベイビーステップに学ぶテニス上達法』⑨
ベスト4!!
岩佐くんに勝利したエーちゃん、とうとうベスト4まで勝ち抜きました。
テニスを始めてまだたったの一年とは思えないほどです。
普通であれば、「やった~。ベスト4まで来た!だいぶうまくなったなぁ~」とでも思いながら、満足してしまいそうなものです。
自分だったら、次の荒谷戦があるとはいえ、「第3シードに勝ったし、自分けっこうよくがんばった」とか考えてしまいます。。
しかし、そこはさすがのエーちゃんで、おそらく勝敗や誰に勝った、ということよりも、その瞬間瞬間の試合を生きているのでしょう。
それじゃ 次の荒谷は厳しいかもしれないよ
そんなエーちゃんに、岩佐くんがこんな言葉を投げかけました。
素直で謙虚なエーちゃんは、その言葉をしっかりと受け止め、考え始めます。
自分と荒谷との差はなんなのか?
プロを目指す人と自分との違いはなんなのか?
この問いを思い浮かべると、自ずと考えや行動がこの問いを解消するためにどうすればよいか、という方向に動き始め、この問いを解消するためのフィルターが心に張り巡らされます。
それが顕著なのが、なっちゃんとの会話ですね。
岩佐くんのケイレンで勝利を得たことをなっちゃんに話したのに対するなっちゃんの返答に対して、そのフィルターが反応します。
『もしかしてこういうことなのかな?』
これは、問いがなければ、ひっかからなかったものでしょう。
色々な人の話を謙虚に受け止めるエーちゃんだからこそ、素直な『問い』をたて、色々な人の言葉にヒントを見出しているのかもしれません。
弱点を突く
荒谷戦との前に、練習に励むエーちゃん。
相手の弱点を狙うことに罪悪感を覚えます。
勝負事というのは、どうしても相手の弱点を狙ったり、嫌なことをしなければいけない、というイメージがあります。
私もそうでした。
相手の弱点を突くと、自分が嫌なやつになっているような、心が汚れていくような想いを抱いていました。
ですので、
「人の弱点を探していたら、急にテンションが落ちてしまう」
あたりは、本当にエーちゃんの気持ちがよくわかります。
でも一方で、自分も負けたくない、相手より優りたい、という想いもあります。
自分は勝ちたい、相手より優りたい、でも、汚いことはしたくない、できることなら、相手の良い所に対して、きれいに勝ちたい。
そんな想いに挟まれたことありませんでしょうか?
相手の弱点を突くことは相手も自分も成長させる
そんなエーちゃんに対して、宮川くんが伝えてくれた言葉がこちらです。
これまで『自分がどうしたいか、何が嫌か』と『試合している瞬間』の視点でしか捉えていなかったエーちゃんに対して、少し広がった視点での言葉ですね。
試合をした相手が、弱点を突かれたあとに、どのように受け止め、どのように感じたか。
それをエーちゃんと試合をした宮川くんだからこそ、伝えられる言葉で伝えてくれています。
たしかに考えてみればそうです。
けっきょく、あなたが相手選手の弱点を突かなくても、誰かがその弱点を突くことになります。
結局は、あなたがしなくても、誰かがいつかは、それをするわけです。
であるならば、早くしてあげたほうが、相手のためになる、ということになります。
そんなことを宮川くんは伝えてくれていると思います。
自分のやるべきことに集中しよう
そして、突き詰めて考えると、相手の弱点を突くのが嫌なのは、相手ではなく、「それをしている自分」が嫌なんですよね。
誰しもが、嫌な人にはなりたくない、嫌われたくない、という想いを持っていると思います。
しかし、それがブレーキになってしまう時もあるということです。
もし、このままエーちゃんが「弱点突くの嫌だなぁ」となっていたら、このあとの荒谷戦は散々な結果に終わるでしょう。
そして、エーちゃんも荒谷くんも成長する機会が少ないままになってしまい、なにも生み出さずに終わってしまうことになります。
しかし、ここでエーちゃんが弱点を狙おうと思い、やるべきことに集中したために、素晴らしい試合が繰り広げられることになります。
つまり、そんなことを考えている暇があるならば、次の荒谷戦のために、できることをやったほうが、自分のためにも、荒谷くんのためにもなる、ということです。
最後の宮川くんの言葉でもそれが感じ取れますね。
「っていうか、僕に勝ったんだから、優勝してね」
この言葉は、「そんなことで悩んでないで、がんばれ!」という叱咤激励の言葉に捉えられます。
そして、とうとう荒谷戦を迎えます!