『ベイビーステップに学ぶテニス上達法』その8: 岩佐くんとの試合
2016/01/20
漫画「ベイビーステップに学ぶテニス上達法』⑧
第3シード 岩佐くん!
第16シードに圧勝し、ベスト8まで勝ち上がったエーちゃん。
昨年の結果とはまったく異なる大躍進です!
そして、次の試合は『コートにいい絵をかけた時が一番うれしい』と答える岩佐くんです。
コートに絵を描く岩佐くん
この岩佐くんはとてもおもしろいプレーヤーで、コートに絵を描くようにショットを狙っていきます。
オープンコート等をセオリー通りに打つのではなく、ど真ん中にロブを打ったり、自分から浅いボールを打ったり。
つまり、ボールの軌道でコート上に絵を描くようにプレーをしているのです。
正直なところ、実際に『絵を描く』プレーヤーは見たことがありませんが、しかし、『狙う』という意味では、ボールの軌道をイメージすることはボールコントロールするうえでひじょうに大事になってきます。
ただ単に相手コートの狙った場所だけを考えるのではなく、ボールの軌道(ネットのどのあたりを通って、どのように相手コートに狙うか)をイメージして打つことによって、少しずつ精度があがっていきます。
そして、一本一本のショットをイメージするだけではなく、それをさらに組み合わせて、展開として考えていくと、実際のゲームでも戦いやすくなります。
おそらく、岩佐くんの場合は、この各ショットのイメージとそれを組み合わせた展開によって、コート上に線を描き上げているのですね。
そしてポイントを始める前に、自分が描きたい絵(展開)を準備し、その展開を描くための、各ショットのボールの軌道をイメージして、狙っていくのだと思います。
『絵を描く』ことのメンタル的な意味
一方で、試合中に絵を描くことに集中するというのは、メンタル的な意味合いもあると感じました。
というのも、自分もそうでしたが、やはり試合になると、勝ち負けやポイントを取った取られた、ということに意識が向きがちです。
ですが、勝ち負けという結果にとらわれすぎると、緊張が強くなり、身体が動きづらくなり、思い切りのよいプレーができなくなります。
普段は入るようなショットも入らなくなるものです。
ですので、大事なことは、結果を出すための『プロセス』に意識を向けることで、今やるべきことに集中でき、高いパフォーマンスを出すことができます。
そういう点では、岩佐くんのように結果ではなく、絵を描く=展開を作る、ということにフォーカスをしているのは、高いパフォーマンスを出しやすくなると思います。
相手とつくり上げる展開ができたら。。。
ただ、やはり岩佐くんの難点は、自分が絵を描きたいばかりに、最後の一筆を書き終わったら、もうボールを追わなかったり、相手のスタイルが変わると対応が苦しくなってきたりしますね。
やはりテニスは相手のいるスポーツなので、自分が描きたい絵、行いたい展開だけではなく、相手がどう打ってくるか、どこに返してくるか、によって、展開を変えなくてはならないときもあります。
そういった点では、もし岩佐くんが自分の描きたい絵にとらわれず、相手に応じて描く絵を変えたり、また相手と一緒に絵を描き上げる、というスタンスで試合にのぞんでいたら、もっと結果が変わっていたかもしれませんね。
勝ちたい想い
となると、やはり大事なのはバランスになってきます・
岩佐くんの敗因にもつながりますが、絵を描くことにフォーカスし過ぎると、練習でもその練習は集中力が高くなるが、それ以外のテーマの練習やトレーニングでは、集中力が続かない、ということにつながってしまいます。
それが、痙攣につながってしまい、最後はエーちゃんに負けてしまいます。
そのように考えると、やはり「勝ちたい」という結果への想いと、「いまなにをするか」というプロセスへの集中力の両方のバランスを兼ね備えると、高いパフォーマンスを発揮することができるのだと思います。
みなさんも岩佐くんのように、『展開』を意識しながら、試合にのぞみましょう!