『ベイビーステップに学ぶテニス上達法』その14:強みで勝負する
2016/01/20
漫画「ベイビーステップに学ぶテニス上達法』⑭
まだこんなに穴があったのか
全日本ジュニア選抜室内の関東予選に選抜されたエーちゃん
一回戦で難波江くんと当たります。
難波江くんは全日本ジュニアでタクマを倒した相手です。
そのプレーは、テニスにおける全ての要素でオールAを目指し、相手に応じて自在にプレースタイルを変化させてきます。
そんな相手と戦うエーちゃん
試合序盤は、地道に培ってきたフィジカルと反応の良さを発揮し、ゲームをリードします。
しかし、試合が続くにつれて、徐々にエーちゃんのテニスが分析されていきます。
フォアハンドのスタンスから打てるコースを読まれ、
ボレーのグリップから弱点を狙われ、
戦い方から、ショットの選択肢を読まれ、
フォームから不得意なショットを突かれ、
迷っているメンタルのスキを見ぬかれます。
これまでの地道にフィジカルを強化し、技術を磨いてきたエーちゃんですが、難波江くんと勝負すると、自分にこんなにも穴があったのを思い知らされます。
そして、コートチェンジで、エーちゃんは自問自答します。
『何かないか。もっとシンプルに難波江くんを超えられる何か。経験によらず勝負出来て俺が有利な・・・何か』
問いの姿勢
自分の強みを問い始めたエーちゃん
では、ただ強みを問えば、エーちゃんのようになれるのでしょうか。
もし、エーちゃんが、試合までの練習で、どこかで諦めたり、地道で厳しい練習の中で力を抜いていたら、この問いに対する答えにメンタル的な深みや幅が出るでしょうか?
もし、同じように第一シードと戦っていた時に、心のどこかで『相手が第一シードだから、負けても仕方がない』と考えていたら、同じように強みを考えたとしても、その答えに深みや幅が出るでしょうか?
きっとそうではないと思います。
ここまで、全てエーちゃんのできうる限りのことを尽くしてきたからこそ、いまできないことは仕方がない、と割りきったメンタル的な姿勢で、強みを問うことができているのだと思います。
また、エーちゃんは、誰かに評価を得たり、見返りを求めるのではなく、ただ目の前の相手と純粋に戦おうと考えているからこそ、そのときできることに全力を尽くしているのです。
強みを見出すことは、他を捨てること
強みを見出して、それで勝負する、ということは、他の選択肢を捨てる、ということです。
エーちゃんの例でいくならば、他の持ち味である粘り強いストロークや、コントロール、地道につけた体力も強みではあります。
そして、その強みで戦えば、ポイントは取れないかもしれませんが、良いラリーができるかもしれません。
『ラリーが続けば、あわよくば、難波江くんがミスをしてくれるかも』
『いまもっている力は第一シード相手に全部出しきった。』
『自分がここまで頑張ってきたのだから、きっと通用するはず』
このような想いが頭をよぎったら、他の選択肢を捨てるようなメンタル的な決断はできないでしょう。
きっと、いまの自分のプレーにこだわり、強みも絞り込めないまま負けてしまいます。
しかし、エーちゃんは、今できることに没頭します。
その強みが『眼』で勝負するという決断になるのです。
その決断によって、戦略や打つショットが必然的に定まり、迷いがなくなったプレーにつながります。