『自ら動く』子供に育てるための教え方③
2016/01/20
『自ら動く』子供に育てるための教え方③
ポイント『メニュー・ゴール設定・アドバイスを検討して本当に効くアドバイスにする!』
意識している様子はあるのにできるようにならない!!
技術を改善していこうとするときに、
①意識していなくて、できていない。
②意識しているが、できていない。
③意識していて、できている。
④意識しなくても、できている。
のどの段階にあるかをまずよく見ることを考えてきました。
では、さらに深掘りして考えていきましょう。
④は高いパフォーマンスを発揮している状態ですし、
③は反復を重ねれば④に行き着く見込みがあるので問題無いでしょう。
では、②のケースを考えてみましょう。
意識している様子はあるのに、なかなか改善が見られないケースがあります。
本人は、こちらのアドバイスを一生懸命にやろうとしている様子が伺えるのに、結果としてそれが表れていないという状態です。
こういう場合は指導者としては腕の見せどころですね。
プレイヤー本人は、やる気もあってモチベーションも高い状態が見て取れますので、あとはアプローチ方法が正しければ改善されていくはずです。
私がこういう時に意識する点は、そのような前向きの姿勢が見れて、そのうえで今のアドバイスで改善する見込みがなさそうであれば、早めに軌道修正をかけていくことです。
特に私も自分が自信をもって行ったアドバイスであれば、それで改善ができるはずだ、とこだわってしまいがちです。
ですが、結果として表れていないのに、それを続けてしまうと、せっかくトライしようとしているプレイヤーのモチベーションが下がってしまう恐れがあります。
ですので、そのようなときには、はやめに修正をかけていくように心がけています。
では、どのように軌道修正していけばよいでしょうか?
軌道修正をかけていくための視点
軌道修正をかけていくための視点はいくつかのケースに整理できます。
だいたいのケースでは、
①意識しやすい練習メニューになっているか
②ゴール設定は、十分に小刻みなものになっているか
③アドバイスが具体的で、実現しやすいものかどうか
に着目すると、軌道修正が図れるケースが多いです。
①意識しやすい練習メニューになっているか
まず、ひとつ目は、選手が行っているメニューが、改善したい技術ポイントを意識しやすいメニューになっているか、です。
たとえば、フォアハンドの打ち方を改善したいのに、ラリー練習や試合練習で改善をしようと思っても、なかなかフォアハンドだけに集中することはしづらいです。
ラリーになれば、色々なところにボールが飛んで来るので、距離感や狙う場所、状況判断など、様々なことを考えなくてはなりません。
そのような状況で、フォアハンドの打ち方に集中するのは難しいでしょう。
ですので、改善したいポイントに集中しやすい練習メニューになっているかを確認しましょう。
②ゴール設定は、十分に小刻みなものになっているか
次は、求めているゴール設定が十分に小刻みになっているか、です。
求めるゴールと行っているアドバイスはセットになっているものです。
求めているゴール
↑
↑
おこなっているアドバイス
ですが、求めているゴールが十分に小刻みにされていないと、次のようになります。
求めているゴール
↑
(実は存在している途中のゴール)
↑
(実は存在している途中のゴール)
↑
おこなっているアドバイス
たとえばですが、フォアハンドの打ち方を修正しようとするときに、アドバイスをして、ボールを打ちながら意識ができる選手もいますが、一方でいきなりボールを打ち出すとボールを打つことにばかり意識がいってしまい、なかなか意識すべき点に集中しにくい選手もいます。
こういうケースでは、
最終ゴール:フォアハンドの打ち方が修正されてボールを打てる
↑
(実は存在している途中のゴール:ボールを打たない状態で修正したフォアハンドの打ち方ができる)
↑
フォアハンドのアドバイス
という構図になります。
こういう選手の場合は、すぐにボールを打ち出してもうまく表現できないので、その場合は、以下のようにします。
最終ゴール:フォアハンドの打ち方が修正されてボールを打てる
↑
最初のゴール:素振りでフォアハンドの打ち方が修正されて振れる
↑
フォアハンドのアドバイス
というかたちで考えます。
③アドバイスが具体的で、実現しやすいものかどうか
最後に、アドバイスが具体的で実現しやすいものになっているかどうかを検討します。
私がいつも注意をしているのは、特に技術面やフットワーク面であれば、身体の具体的な箇所をどう意識するのかを明示するようにします。
また、その時に使う表現として、たとえを出したり、音で表現したりします。
たとえば、私が意識しているアドバイスは、
「手首の力をできるだけ抜きましょう!ぶらぶら~っと」
「でんでん太鼓のようなイメージで身体を動かしてみましょう」
「ラケットを右上のほうに放り投げるようなイメージで」
のようなかたちです。
アドバイスを受ける側としては、できるだけ具体的なほうが意識しやすく、また受け取る側がイメージしやすい言葉を選ぶことで、すぐに効果の出やすいアドバイスにすることができます。
もし、意識しているのになかなか改善が見えていない選手がいた場合には、どう効き目のあるアドバイスをするか、今日ご紹介したケースを参考にしていただけたらと思います!