練習で何倍もうまくなるためのテニスノートのつけかた⑧
2016/01/20
ポイント『具体的なことに集中して心のくせをなおす』
前回では、練習の時の心のくせを明らかにすることを解説しました。
プレッシャーのかかる練習メニューを設定し、その練習を行っていくと、どのようなシーンで心のくせが出やすいのか、また心のくせが出ているときは、どういう考えが頭に浮かんでいるのかを整理してみました。
では、どのようにして心のくせを修正して、強いメンタルにしていけばよいのでしょうか?
傾向を知る
まず、最初に自分がどのようなシーンで、どういう考えが出やすいのか、というのをきちんと認識することからはじめましょう。
選手によって、メンタル的な部分は色々な傾向があります。
シーン別に考えると、
- いつもあともう少しでできる、という時にミスをしてしまう
- 成功した後の、次のセットですぐにミスをする
- まわりの選手ができていくと、ミスが出る
等、自分のメンタル的な弱さが出やすいシーンが整理されてくると思います。
そして、そのシーンの時に出てくる考えも
- 焦って、打ち急いでしまう
- 不安になって、振り抜けなくなってしまう
- 集中できなくて、他のことを考えてしまう
等々、よくおちいってしまう考えを整理しましょう。
『考えないようにする』のは解決策にはならない
このように、自分の心のくせを整理できたら、次はそのようなときにどう対処するかを、テニスノート上で考えてみましょう。
この時に、『こういうことを考えないようにする』というのは解決策にはなっていません。
禅問答のようですが、『考えないように』と考えている時点で、すでにその考えにとらわれてしまっているからです。
このような時の考え方のポイントは、「いま」「ここ」に集中することです。
といっても、
「じゃあ、いま、ここに集中しよう」
と考えるのは、有効ではありません。
というのも、具体性がないので、集中しづらいからです。
たとえばですが、以下の円の真ん中に集中してください、と言われたら、いかがでしょうか?
いかがでしょうか?
何もないところに集中するのは、なかなか難しく、視線が定まらないと思います。
では、円の中心に点が書かれたら、いかがでしょうか?
いかがでしょうか?
集中する対象が見えてくると、視線が定まりやすいと思います。
このように、集中する際には、何に集中するのか、具体的に決めることが大切になります。
技術的なことに集中する
では具体的なことを、どのように決めていけば良いのでしょうか?
もちろん、ボールをよく見る、なども良いと思いますが、私がおすすめしたいのは、ミスが出やすい時の技術的な改善点に注目するようにすると良いと思います。
たとえば、心のくせが出やすい時に、不安になって振り抜きが弱くなっているとしたら、『しっかり振り抜く』ことに集中しましょう。
たとえば、気持ちが焦ってしまって、ボールとの距離感が遠くなっているのであれば、『軸足をボールの後ろに置く』ことに集中しましょう。
このように具体的に集中するポイントを決めるための考え方は、『自分の身体をどう動かすか』に注目することです。
テニスをしていて、相手のボールや、緊張する状況というのは、自分で変えようと思っても変えられるものではありません。
唯一変えられるのは、自分の身体の動きだけは、自分でコントロールすることができます。
ですので、自分の体をどう動かすか、という考え方で、集中するポイントを具体化すると、結果としては、『いま』『ここ』に集中することにつながります。
このようにして、ノート上で心のくせを治していくための、考え方を整理できました。
次回は、具体的な練習の場面で、より効率よく心のくせをなおしていくためのやり方を解説していきます。