リスクとリターン
2016/01/26
ポイント『「失敗するリスク」と「ポイントを得るリターン」を比べて状況判断しよう!』
テニスで自分の実力を最大限に発揮していく時に、まずおさえておかなければならない考え方が、リスクとリターンという考え方になります。
リスクはどれくらい自分がミスや失敗をしてポイントを失う確率がありそうか、リターンとは逆に自分がどれだけポイントを取れそうか、という意味になります。
テニスというスポーツは、コートに入らない、というミスをしてしまうと負けてしまうスポーツです。そのため、常にミスをする、というリスクとの戦いになってきます。
ある報告によると、大学レベルやフューチャーズレベルの女子選手の試合でも、55%前後のポイントがアンフォーストエラーによって決まってくるとのことです。
つまり、試合の半分以上がどちらかのミスによってポイントが決まってくるという事実があり、いかにミスを減らすのか、というのが勝負に勝つためには必要不可欠な視点なのです。
ミスが生まれやすい状況とは?
では、ミスが生まれやすい状況とはどのようなものなのでしょうか?ごくごくシンプルに考えてみましょう。
テニスというゲーム性にもつながるのですが、テニスというゲームにはネットが障害物として存在しています。そして、ボールを入れる範囲は限られています。
ですので、
・ネットから遠いところからボールを打つほうが難しく、ネットから近いところからボールを打つほうが簡単で、
・ネットより低いところでボールを打つほうが難しく、ネットより高いところでボールを打つほうが簡単で、
・コートの真ん中を狙ったほうがコートに入りやすく、コートの端を狙うとコートに入りづらい
・ネットの高いところを通したほうがコートに入りやすく、ネットの低いところを通すとコートに入りづらい
・遠い場所へ打たれると難しく、近い場所へ打たれると簡単
もちろん、選手それぞれの技術によって、多少の違いは出てきますが、基本的にテニスのルールを考えた時に、プレイヤー全般に成り立つ原則がこちらになります。
ごくごく当たり前のことですが、この原則を踏まえつつ、具体的に考えていってみましょう。
自分がボールを打つときのリスクとリターン
では、自分がボールを打つときを考えてみましょう。この状況では、自分で打つショットのコースや球種を選択できるので、自分でどれくらいのリスクとリターンを狙っていくかを決めることができます。
考えなければならないことは、
①相手にどれだけ難しい状況で打たせることができるか
②自分がどれだけミスをするリスク少ないショットを打つか
つまり、コートの端を狙ったりして、相手に難しい状況で打たそうと思うと、自分がミスをする確率も増えるわけです。
逆に、ネットの高いところを通して、コートの真ん中にボールを打てば、自分がミスをする確率は低いのですが、相手も簡単な状況で打つことが可能になってしまいます。
そのリスクとリターンのバランスを見て、自分がどこに打つことが最もよさそうかを判断する必要があります。
少し具体的でわかりやすい例で考えてみましょう。
自分はサービスラインくらいに弾んだ高めのボールを打とうとしていて、相手はコートの端に追いやられている
さて、この状況だと、どこを狙うのが最も良さそうでしょうか?
まず、自分はいまかなりリスクの低い状況でボールを打つことができそうです。そして、相手もコートの端にいるので、自分が狙うショットで大きなリスクを負う必要はなさそうです。
ということは、自分が打つボールのスピードやコースは、相手が追い込まれているので、それほど速いボールを打ったり、コートの端を狙うと、自分がミスをするリスクを負ってしまうので、それほどはする必要はなさそうです。
となると、たとえばですが、相手のいるのと逆サイドの半面くらいを狙って、70%程度のスピードでボールを打つのがよさそうである、というのが選択になるのではないでしょうか。
では、次に、
その逆で、自分はコートの端まで走らされて追い込まれていて、バランスもかなり崩れていて、一方で相手はコートの真ん中でしっかりと構えています。
いかがでしょうか?
こういった状況で考えがちなのが、一発逆転です。ですが、果たしてどうでしょうか?
もしも、その一発逆転以外のショットをあなたが打ったとしても、絶対に相手が次で決めてしまう、というようなほどの相手であればそれを打つ可能性はあるかもしれません。
ただ、それほどの選手というのはなかなかいないように思いますし、絶対にミスをしないということもあり得ません。
となると、ここで考えるべきなのか、
・自分がミスをする確率の低いショットの中で
・相手をできるだけ難しい状況で打たせられそうなショット
を選択するのが良いでしょう。
たとえばですが、ゆっくりの高めのボールで相手のバックハンドを狙うのはどうでしょうか?
自分はミスをする確率は低く、相手にバックハンドの高い打点で打たせられるので、苦手な人も多そうです。
このようなかたちで、ショットを打つときには、リスクとリターンを常に考えてみましょう。自分がリスクをおさえつつ、相手のリスクを最大化できるようにするショットは何がふさわしいのか、自分の技術も踏まえながら考えてみましょう!