しくじらないためのテニスの取組み方!こんなふうに考えていたら要注意!第11回
2017/01/10
大学時代に出会ったコーチ
今回は、大学時代に出会った、ある一人のコーチの存在についてお伝えしたいと思います。
そのコーチは名古屋にいるコーチで、主にジュニア育成を専門としているコーチでした。私の先輩がそのコーチに師事しており、その先輩から紹介されたのが発端でした。
そのコーチはテニス界の中でもかなりの異端のコーチでした。
一般的なコーチはテニスが上手でそのままテニススクール等にアルバイトなどでコーチをしながら社員になったりするケースや、あるいは、試合等をまわる選手を経て、コーチになるケースが多いでしょう。
そのコーチは、大学院でバイオメカニクス等の、身体の構造等を研究し、大学教員を経た後、アメリカでコーチとして数年間指導した後に、日本でジュニア育成等をメインにされていました。
もちろんテニスが中心でしたが、野球部のトレーニングコーチやその他の競技のプロの選手も指導したりする実績を持たれている方でした。
大学院での経験がある方なので、その方の指導は理論的なものでした。
「身体の構造はどうなっているのか」
「ミスをする理由はなんなのか」
等について、ひじょうに明快な答えをいただきました。
同時に、古武術や武道等の身体の動かし方についても理解の深い方でした。
また、これだけを聞くと冷徹で学者っぽいイメージを持たれると思いますが、とても魅力のある、明るいコーチです。
名古屋にいき、コーチの家に泊めていただき、朝から晩まで一緒に行動させていただいて、テニスはもちろんのこと、物事の考え方等も含めて教えていただきました。
そのコーチに教えていただいたのは、
『力は入れるのではなく、抜くことが大事』
『身体の中心で生まれる力を使う』
『結果ではなく過程が大事』
『自分で決めた約束事を守る』
『努力しても結果が出るかはわからない、でも努力しないと結果は出ない』
等々、様々なことを学ばせていただきました。
このコーチに教えを受け始めたのは、大学一年生の後半くらいからだったと思います。
今の私のテニスの考え方のベースとなるものは、このコーチに教えていただきました。
正しい身体の動かし方、物事の考え方を少しずつ理解していきました。
それまで出会ったことがないタイプのコーチでしたので、私はスポンジのように吸収していきました。
ですが、なかなか結果にはすぐにあらわれませんでした。
というのも、『正しい動き』『正しい考え方』は理解できても、どうしたらそれができるか、とはまた別の問題なわけです。
今では、テニス雑誌などでも、『力を抜く』とか『軸を回す』といった、「これが正しい動きなんですよ」
という情報はたくさんあると思います。
ですが、自分がその動きをしているつもりでもまったくできていなかったりします。
当時の私がそうでした。
自分では力を抜いているつもりなのに
『全然抜けていない』
と言われていました。
このコーチのおかげで、『正しい動き』や『正しい考え方』は理解できた。
そうすると、あとは、「どうすればそうなれるのか」
という壁にあたっていました。
(続く)