『ベイビーステップに学ぶテニス上達法』その6: 宮川くんとの試合
2016/01/20
漫画「ベイビーステップに学ぶテニス上達法』⑥
2度目の夏!
さて、エーちゃんにとって2度めの夏がやってきました。
ここからは見どころがたくさんありますね。
その中でも今日は宮川くんとの試合を取り上げたいと思います!
弱みを見つめると強みが出てくる!
この宮川くん、家がテニスクラブで、物心ついたときからテニスをやっていました。
ただ、器用でなく、ボールタッチなどがあまり得意でなく、それに劣等感を持っていました。
ただし、そこで腐らないのが素晴らしいところですね。
その弱みを受け止めた時に、自分のできる戦い方、努力の仕方を考え、ストロークをフルスイングして戦うことを決めました。
それが宮川くんの強いところですね。
誰しもが、弱いところがあり、得意なところ、不得意なところがあります。
そして、自分の不得意なところ、ダメなところについ目がいってしまいがちです。
でも宮川くんはきっとこう考えたのだと思います。
そう考えていても何かが変わるわけではないし、自分の不得意なところが変わるわけではない。
そうしたら、そういう自分がどう戦えばよいか、という視点にたったのですね。
自分の弱みを見つめた時に、強みが見えてきた瞬間だったのだと思います。
試合はタイのまま進み、追い詰められるエーちゃん
そして、試合が始まります。
コーチが、ストロークの鬼対コートカバーリング&コントロールと評した試合は、サービスキープの均衡したゲームが続きます。
しかし、第8ゲームでエーちゃんは、自分のプレーがじっくりと観察されていたことに気づきます。
そして、それまで自分の精一杯のプレーをしてきたのに、打つ手がない、という想いにもいたります。
リスクを取る
そこで、エーちゃんがした決断が、「前に出る」です!!
この決断は解説がすごくむずかしい!
リスクを取る、というとすごく聞こえはいいのですが、かといって、無謀になってはダメなわけです。
時々、指導をしていて、無謀なエースを狙いに行ったりする選手がいます。
彼らと話すと、彼らも「リスクを取って、狙いに行きました」と答える場面があります。
でも、ちょっと違うんですよねぇ。。。
一言で表現すると、「一か八か」になってしまっては、ダメなんだと思います。
そのためには、まず前提条件として、
自分ができること、ミスせずに表現できることはすべてやりきっているか
になると思います。
エーちゃんも、自分のすべてを出し切り、一杯一杯なところまではやりきっていました。
まず前提条件として、そこまですべてを出しきっているかどうか、というのが大事になってくるでしょう。
次に私が思うのは、
それをした時に、失敗するかもしれないリスクを想定して覚悟したうえでのトライかどうか
だと思います。
もちろん、まだやったことがないので、完全に想定することはできないと思います。
ただ、それをしてもし失敗した時にどのような事態になるのかをなんとなくでも想定したうえでトライしているかどうか、というのは大きなポイントになると思います。
たとえばですが、「お願いします!こうなってほしい!」という願いだけでトライするとだいたい失敗しますね。
おそらくこの場合は、トライしたあとで、「あ~、やっぱりやらなければよかった」と思ってしまい、それはまだ他にできることがあったということでしょう。
でももしそれが、
「もうこれしかやれることがなかった。失敗したらこうなるかもしれないことはわかっていたが、それを覚悟してやった」
という姿勢で取るリスクであれば、それは大きな価値を生むものだと思います。
続ける勇気
さらに注目したいのは、最初に前に出たポイントで失敗した後の冷静さです。
ともすると、これまで自分がしてこなかったプレーで、ミスしてしまった、となると、「またミスするのでは」と思ってしまいそうです。
そして、ミスをおそれ、トライすることをやめたくなってしまいます。
しかし、ここがさすがのエーちゃんで、冷静にミスをした原因を分析し、その原因が作戦ではなく、『作戦のやり方』にあると考えたエーちゃんは作戦を続行します。
そして、次のプレーが圧巻ですね。
先ほどは一本で決めようとしたためにミスした、という分析のもとで
・まずはしっかり深く返し、
・コントロールすることに徹する
というかたちで点を取ります。
素晴らしいのは、トライした後に結果が出なかったとしても、内容をきちんと見つめ、トライしたこと自体に問題はないと分析するその分析力ももちろんですが、一度目で失敗しても勇気をもって二度目もトライをしている姿が素晴らしいと感じます。
出たフリ作戦
そして、試合は対ブレーに入ります。
最後の出たフリ作戦です!
おそらく自分だったら、この出たフリ作戦をするときに
「でも、もしそれを見抜いて、相手が普通に対応してきたら、どうしよう」
と絶対に考えると思います。
でも、そういうふうにもし失敗した事態を想定できているのであれば、トライする価値があるのだと思います。
実際にそれが運を引き寄せるように、宮川くんへのプレッシャーとなり、素晴らしい勝利を得ます。
しかし、この最後で、宮川くんもそれに気づき、トライしようとしているその姿勢が本当に素晴らしいプレイヤーですね。
そして、試合終了後の「でも楽しかったよ」という言葉も清々しいです。
こういう負け方をするプレーヤーは、きっと強くなりますね!
みなさんもエーちゃんや宮川くんのような姿勢で試合にのぞみましょう!!